コーポレートドローン運航ポリシー

コーポレートドローン運航ポリシー

初版:2018年10月1日
改訂:2019年11月26日(Ver1.7)

1. 無人航空機の点検・整備

1-1 機体の点検・整備の方法

(1)飛行前の点検
飛行前には、以下の点について機体の点検を行う。
・各機器は確実に取り付けられているか(ネジ等の脱落やゆるみ等)
・発動機やモーターに異音はないか
・機体(プロペラ、フレーム等)に損傷やゆがみはないか
・燃料の搭載量又はバッテリーの充電量は十分か
・通信系統、推進系統、電源系統及び自動制御系統は正常に作動するか

(2)飛行後の点検
飛行後には、以下の点について機体の点検を行う。
・機体にゴミ等の付着はないか
・各機器は確実に取り付けられているか(ネジ等の脱落やゆるみ等)
・機体(プロペラ、フレーム等)に損傷やゆがみはないか
・各機器の異常な発熱はないか

(3)20時間の飛行毎に、以下の事項について無人航空機の点検を実施する。
・交換の必要な部品はあるか
・各機器は確実に取り付けられているか(ネジの脱落やゆるみ等)
・機体(プロペラ、フレーム等)に損傷やゆがみはないか
・通信系統、推進系統、電源系統及び自動制御系統は正常に作動するか

1-2 点検・整備記録の作成

1−1(3)に定める20時間の飛行毎に無人航空機の点検・整備を行った際には、「無人航空機の点検・整備記録」(様式1)により、点検・整備を実施した者がその実施記録を作成し、電子データ又は書面により管理する。 

2. 無人航空機を飛行させる者の訓練及び遵守事項

2-1 基本的な操縦技量の習得

プロポの操作に慣れるため、以下の内容の操作が容易にできるようになるまで10時間以上の操縦練習を実施する。なお、操縦練習の際には、十分な経験を有する者の監督の下に行うものとする。訓練場所は許可等が不要な場所又は訓練のために許可等を受けた場所で行う。

項目内容
離着陸操縦者から3m離れた位置で、3mの高さまで離陸し、指定の範囲内に着陸すること。この飛行を5回連続して安定して行うことができること。
ホバリング飛行させる者の目線の高さにおいて、一定時間の間、ホバリングにより指定された範囲内(半径1mの範囲内)にとどまることができること。
左右方向の移動指定された離陸地点から、左右方向に20m離れた着陸地点に移動し、着陸することができること。この飛行を5回連続して安定して行うことができること。
前後方向の移動指定された離陸地点から、前後方向に20m離れた着陸地点に移動し、着陸することができること。この飛行を5回連続して安定して行うことができること。
水平面内での飛行一定の高さを維持したまま、指定された地点を順番に移動することができること。この飛行を5回連続して安定して行うことができること。

2-2 業務を実施するために必要な操縦技量の習得

基礎的な操縦技量を習得した上で、以下の内容の操作が可能となるよう操縦練習を実施する。訓練場所は許可等が不要な場所又は訓練のために許可等を受けた場所で行う。

項目内容
対面飛行対面飛行により、左右方向の移動、前後方向の移動、水平面内での飛行を円滑に実施できるようにすること。
飛行の組合操縦者から10m離れた地点で、水平飛行と上昇・下降を組み合わせて飛行を5回連続して安定して行うことができること。
8の字飛行8の字飛行を5回連続して安定して行うことができること。

2-3 操縦技量の維持

2−1,2−2で定めた操縦技量を維持するため、定期的に操縦練習を行う。訓練場所は許可等が不要な場所又は訓練のために許可等を受けた場所で行う。また、シミュレータも効率的に使用する。

2-4 夜間における操縦練習

夜間においても、2−2に掲げる操作が安定して行えるよう、訓練のために許可等を受けた場所又は屋内にて練習を行う。

2-5 目視外飛行における操縦練習

目視外飛行においても、2−2に掲げる操作が安定して行えるよう、訓練のために許可等を受けた場所又は屋内にて練習を行う。

2-6 物件灯火のための操縦練習

物件投下の前後で安定した機体の姿勢制御が行えるよう、また、5回以上の物件投下の実績を積むため、訓練のために許可等を受けた場所又は屋内にて練習を行う。

2-7 飛行記録の作成

無人航空機を飛行させた際には、「無人航空機の飛行記録」(様式2)により、その飛行記録を作成し、電子的又は書面で記録を管理する。

2-8 無人航空機を飛行させる者が遵守しなければならない事項

  • 第三者に対する危害を防止するため、第三者の上空で無人航空機を飛行させない。
  • 飛行前に、気象、機体の状況及び飛行経路について、安全に飛行できる状態であることを確認する。また、他の無人航空機の飛行予定の情報(飛行日時、飛行経路、飛行高度)を飛行情報共有システム(https://www.fiss.mlit.go.jp/)で確認するとともに、当該システムに飛行予定の情報を入力する。ただし、飛行情報共有システムが停電等で利用できない場合は、国土交通省航空局安全部安全企画課に無人航空機の飛行予定の情報を報告するとともに、自らの飛行予定の情報が当該システムに表示されないことを鑑み、特段の注意をもって飛行経路周辺における他の無人航空機及び航空機の有無等を確認し、安全確保に努める。
  • 10m/sを超える突風が発生するなど、無人航空機を安全に飛行させることができなくなるような不測の事態が発生した場合には即時に飛行を中止する。
  • 多数の者が集合する場所の上空を飛行することが判明した場合には即時に飛行を中止する。
  • アルコール又は薬物の影響により、無人航空機を正常に飛行させることができないおそれがある間は、飛行させない。
  • 飛行の危険を生じるおそれがある区域の上空での飛行は行わない。
  • 飛行前に、航行中の航空機を確認した場合には、飛行させない。
  • 飛行前に、飛行中の他の無人航空機を確認した場合には、飛行日時、飛行経路、飛行高度等について、他の無人航空機を飛行させる者と調整を行う。
  • 飛行中に、航行中の航空機を確認した場合には、着陸させるなど接近又は衝突を回避させる。
  • 飛行中に、飛行中の他の無人航空機を確認した場合には、着陸させるなど接近又は衝突を回避させ、飛行日時、飛行経路、飛行高度等について、他の無人航空機を飛行させる者と調整を行う。
  • 不必要な低空飛行、高調音を発する飛行、急降下など、他人に迷惑を及ぼすような飛行を行わない。
  • 物件のつり下げ又は曳航は行わない。
  • 十分な視程が確保できない雲や霧の中では飛行させない。
  • 無人航空機の飛行の安全を確保するため、製造事業者が定める取扱説明書に従い、定期的に機体の点検・整備を行うとともに、点検・整備記録を作成する。
  • 無人航空機を飛行させる際は、次に掲げる飛行に関する事項を記録する。
    ・飛行年月日
    ・無人航空機を飛行させる者の氏名
    ・無人航空機の名称
    ・飛行の概要(飛行目的及び内容)
    ・離陸場所および離陸時刻
    ・着陸場所および着陸時刻
    ・飛行時間
    ・無人航空機の飛行の安全に影響のあった事項(ヒヤリ・ハット等)
    ・天候
    ・風速
    ・GPS受信状況(VDOP, HDOP)
  • 無人航空機の飛行による人の死傷、第三者の物件の損傷、飛行時における機体の紛失又は航空機との衝突若しくは接近事案が発生した場合には、次に掲げる事項を速やかに、許可等を行った国土交通省航空局安全部運航安全課、地方航空局保安部運用課又は空港事務所まで報告する。なお、夜間等の執務時間外における報告については、24 時間運用されている最寄りの空港事務所に電話で連絡を行う。
    ・無人航空機の飛行に係る許可等の年月日および番号
    ・無人航空機を飛行させた者の氏名
    ・事故等の発生した日時および場所
    ・無人航空機の名称
    ・無人航空機の事故等の概要
    ・その他参考となる事項
  • 飛行の際には、無人航空機を飛行させる者は許可書又は承認書の原本又は写しを携行する。

3. 安全を確保するために必要な体制

3-1 無人航空機を飛行させる際の基本的な体制

  • 場所の確保・周辺状況を十分に確認し、第三者の上空では飛行させない。
  • 風速10m/sを超えた状態では飛行させない。
  • 雨の場合や雨になりそうな場合は飛行させない。ただし、災害対応・実証実験等で雨天時の飛行がどうしても必要な場合に限り、飛行距離及び高度の限界値を設定して不必要な飛行をさせないようにし、突風や天候の悪化を考慮して補助者の増員、事前周知、物件管理者等との調整を行う。また、第三者の立ち入り等が生じた場合は速やかに飛行を中止する。なお、雨天時に飛行できる機体は、IP43対応のDJI M200 V2およびIPX3対応のACSL PF2のみとし、降雨量3mmを超えたら飛ばさない。バッテリコネクタ部分等は必ず防水処置を行う。
  • 十分な視程が確保できない雲や霧の中では飛行させない。
  • 飛行させる際には、安全を確保するために必要な人数の補助者を配置し、相互に安全確認を行う体制をとる。
  • 補助者は、飛行範囲に第三者が立ち入らないよう注意喚起を行う。
  • 補助者は、飛行経路全体を見渡せる位置において、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視し、操縦者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行う。
  • ヘリコプターなどの離発着が行われ、航行中の航空機に衝突する可能性があるような場所では飛行させない。
  • 第三者の往来が多い場所や学校、病院等の不特定多数の人が集まる場所の上空やその付近は飛行させない。ただし、学校や病院等から依頼があった場合は、休校日や休診日、早朝等第三者が往来する可能性が低い時間帯に限り、飛行経路を当該施設敷地内に限定し、第三者の立ち入り制限を行いつつ一定の広さのある場所において飛行させるとともに、突風などを考慮して当該場所の付近(近隣)の第三者や物件への影響を予め現地で確認・評価し、補助者の増員、事前周知、物件管理者等との調整を行う。また、第三者の立ち入り等が生じた場合は速やかに飛行を中止する。
  • 高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近では飛行させない。
  • 高圧線、変電所、電波塔及び無線施設等の施設付近では飛行させない。ただし、高圧線、変電所、電波塔及び無線施設等の施設の点検等の業務上で飛行が必要な場合は、飛行距離及び高度の限界値を設定して不必要な飛行をさせないようにし、第三者の立ち入り制限を行いつつ一定の広さのある場所において飛行させるとともに、突風や電波障害等の不測の事態を考慮して当該場所の付近(近隣)の第三者や物件や当該施設への影響を予め現地で確認・評価し、補助者の増員、事前周知、物件管理者等との調整を行う。また、第三者の立ち入り等が生じた場合は速やかに飛行を中止する。
  • 飛行場所付近の人又は物件への影響をあらかじめ現地で確認・評価し、補助員の増員、事前周知、物件管理者等との調整を行う。
  • 公園、河川、港湾等で飛行させる場合には、管理者により飛行が禁止されている場所でないか、あらかじめ確認する。
  • 人又は物件との距離が30m以上確保できる離発着場所及び周辺の第三者の立ち入りを制限できる範囲で飛行経路を選定する。
  • 飛行場所に第三者の立ち入り等が生じた場合には速やかに飛行を中止する。
  • 人又は家屋が密集している地域の上空では夜間飛行は行わない。
  • 人又は家屋が密集している地域の上空では目視外飛行は行わない。ただし、やむを得ず業務上飛行が必要な場合は必ず目視内での飛行を行い、飛行距離及び高度の限界値を設定して不必要な飛行をさせないようにし、第三者の立ち入り制限を行いつつ一定の広さのある場所において飛行させるとともに、突風などを考慮して当該場所の付近(近隣)の第三者や物件への影響を予め現地で確認・評価し、補助者の増員、事前周知、物件管理者等との調整を行う。また、第三者の立ち入り等が生じた場合は速やかに飛行を中止する。
  • 夜間の目視外飛行は行わない。
  • 昼夜を問わず、飛行時には脱着可能なストロボビーコンを機体性能に影響を与えない範囲で機体上面および機体後方に装着し、有人機からの視認性向上および地上からの機体の向きの認識容易化に努める。ストロボビーコンは、FAAガイドラインを全てクリアしたものを使用する(Lume Cube Anti-Collision Drone Strobe Light)。
  • 飛行させる際には、消化器・消化砂・消化バケツを必ず携行する。
  • 飛行させる際には、応急手当グッズを必ず携行する。

※3−1に加え、飛行の形態に応じ、3−2から3−6の各項目に記載される必要な体制を適切に実行すること。

3-2 人又は家屋の密集している地域の上空における飛行又は地上又は水上の人又は物件との間に 30mの距離を保てない飛行を行う際の体制

  • 飛行させる無人航空機について、プロペラガードを装備して飛行させる。ただし風が強い時等、かえってプロペラガードが不利に働くと判断される場合は、第3者が飛行経路下に入らないように監視及び注意喚起をする補助者を必ず配置し、万が一第三者が飛行経路下に接近又は進入した場合は操縦者に適切に助言を行い、飛行を中止する等適切な安全措置をとる。
  • 無人航空機の飛行について、補助者が周囲に周知を行う。

3-3 夜間飛行を行う際の体制

  • 夜間飛行においては、目視外飛行は実施せず、機体の向きを視認できる灯火が装備された機体を使用し、機体の灯火が容易に認識できる範囲内での飛行に限定する。
  • 人口集中地区での夜間飛行は行わない。人口集中地区以外の場合は、飛行高度と同じ距離の半径の範囲内に第三者が存在しない状況でのみ飛行を実施する。
  • 操縦者は、夜間飛行の訓練を修了した者に限る。
  • 補助者についても、飛行させている無人航空機の特性を十分理解させておくこと。
  • 夜間の離発着場所において車のヘッドライトや撮影用照明機材等で機体離発着場所に十分な照明を確保する。

3-4 目視外飛行を行う際の体制

  • 飛行の前には、飛行ルート下に第三者がいないことを確認し、双眼鏡等を有する補助者のもと、目視外飛行を実施する。
  • 操縦者は、目視外飛行の訓練を修了した者に限る。
  • 補助者についても、飛行させている無人航空機の特性を十分理解させておくこと。

3-5 危険物の輸送を行う際又は物件投下を行う際の体制

  • 3−1に基づき補助者を適切に配置し飛行させる。
  • 危険物の輸送の場合、危険物の取扱いは、関連法令等に基づき安全に行う。
  • 物件投下の場合、操縦者は、物件投下の訓練を修了した者に限る。

3-6 非常時の連絡体制

あらかじめ、飛行の場所を管轄する警察署、消防署等の連絡先を調べ、2−8(16)に掲げる事態が発生した際には、必要に応じて直ちに警察署、消防署、その他必要な機関等へ連絡するとともに、以下のとおり許可等を行った国土交通省航空局安全部運航安全課、地方航空局保安部運用課又は空港事務所まで報告する。なお、夜間等の執務時間外における報告については、24時間運用されている最寄りの空港事務所に電話で連絡を行う。

  • 国土交通省航空局安全部運航安全課:03-5253-8111(内線:50157,50158)
  • 東京航空局保安部運用課:03-6685-8005
  • 大阪航空局保安部運用課:06-6949-6609
  • 最寄りの空港事務所 (執務時間外は次表に示した、飛行させた都道府県に対応する24時間対応の空港事務所へ連絡する。)
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