社長ブログ

ドローンの安全な運航のために必要なこと

幸か不幸か当社はDJI以外の産業用ドローンに携わる機会が非常に多いのですが、これらは飛ばせば飛ばすほど、怖くなります。これまでに数え切れないほどのヒヤリ・ハットを経験してきました。墜落も何度となく経験しています。一歩間違えれば大怪我というケースもありました。私たちダイヤサービスが、安全な運航にこだわっている全ては、これら経験から来ています。備えあれば憂い無しとまでは言えませんが、ドローンというツール活用をチャレンジしつつも、いかに安全に徹するかが大切だと思っています。

特にこれからの時代は、ドローン=自律飛行が当たり前の世の中になっていくはずです。自律飛行が中心となりますと、パイロットの技量で対応できる守備範囲というのは実はわずかしかありません。もちろん有事に備えて弊社パイロットもトレーニングは欠かさないわけですが、本当に万が一の際、技量でカバーするだけの時間があるかと問われると、「そんな時間は無いことのが多いと思う」というのが当社の回答です。

ではどうやって今後は安全確保をしていけば良いのでしょうか?落ちない機体の開発、大事です。でも空飛ぶものである以上、絶対に落ちないということはあり得ません。人を予めどかしておく、も大事ですが、将来的な発展を鑑みますと、いつまでもそうはいきません。私たちサービスプロバイダの立場としてはやはり、「事故を起こさない・起こさせないチーム/プロセス構築」と「事故が起きてしまった際の初動対応」こそが大切ではないかと考えています。

ところで「事故を起こさない・起こさせないチーム/プロセス構築」とは具体的にどのようなことなのでしょうか?一例として、まだまだこの業界では「ピッチャーで4番」ではないですが、「社長がパイロット」というケースも多いかと思います(当社も同様です)。実はここに落とし穴があり、社長が権限を振りかざしてフライトまで牛耳ってしまうと、チームメンバーが何も言えない環境を作り出してしまいます。結果として、防げたはずの事故を防げなくなってしまう可能性が高まります。このため当社では、会社の職務権限とフライト時の職務権限を分けており、私は社長という立場ですがフライトの際は運航管理グループの意見を尊重しています(パイロットの立場として物言うことはもちろん、あります)。現在はこのノンテクニカルスキル(航空業界で言うCRMスキル: Crew Resource Management)を講習化し、運営する管理団体「ドローンオペレーションサービスアライアンス(DOSA)」で展開中です。その他、フライト前にはチェックリストを使用し、手順に従って機体や持ち物・身だしなみの相互チェックをスタッフ間で行っています。

次に「事故が起きてしまった際の初動対応」についてですが、かねてより当社ではDOSAで「ドローンによる事故発生時の応急手当方法」を学べる講習”ドローンエマージェンシー・ケア(DEC)応急手当講習”を展開してまいりました。例えばプロペラで指を切断してしまったら、例えばドローンが墜落して人に直撃して大量出血をしたら、例えば機体整備中にバッテリーショートで電撃熱傷を起こしたら、皆さまは正しい初期対応を行うことはできますか?DEC応急手当講習では、こういった有事の際の対応を看護師から学ぶことが可能です。(補足ですが2022年度よりいよいよ、ドローンによる事故発生時の救護措置が義務化され、航空法にも明記されます。)

DJIのような非常によくできた民生用ドローンしか触ったことが無いとイメージが沸かないかもしれませんが、当社がこれまでに経験して学んだことを少しでも多く、ドローンに携わる皆さまに伝えていきたいと思います。

最後に、、、こう堅苦しいことばかり発信していても安全に対する意識はなかなか浸透しないと思い、最近はInstagramのリール動画で啓蒙活動も行っています。ぜひフォローしてご覧いただければと思います。

ダイヤサービスInstagramリール動画

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