社長ブログ

ドローン物流実用試験を実施いたしました

26日から本日までの間、地元の千葉市花見川区畑町において、ドローンによる物流の実用試験を実施しておりました。本日は最終日ということでお披露目会ということになり、蔓延防止等重点措置適用の関係から人数制限を行ったのですがそれでも50名ほどの皆様にお越しいただきました。

こちらは経済安全保障担当大臣の小林様よりいただいたビデオメッセージです。

大臣以外にも千葉市の市議会より、岩井市議・櫻井市議・伊藤市議にもお越しをいただきました。この場を借りまして、深くお礼申し上げます。

今回の試験内容は全部で3つ。

  1. 畑から集荷場に見立てた場所(当社運営のHATAドローンフィールド千葉)まで、大型ドローンで野菜(ネギ・いちご)7kgの搬送を自律飛行で行う。
  2. 買い物難民対策を想定し、中型ドローンで日用品(2kg)の搬送を自律飛行で行う。
  3. 行方不明者が発生、地元畑町の防災会より依頼を受けドローン✕AIで要救助者を捜索し、要救助者がいれば指揮本部と捜索隊で検知した結果を映像で共有しながら救助に向かう。

1つ目の野菜の搬送については何の問題もなく、LTE回線でテレメトリー送受信を行いつつ、完全自律飛行で1km弱の距離を野菜を載せて飛行できました。土地所有者への事前連絡等は地元であっても大変ですので、このあたりは今後の大きな課題の1つかと思います。あとは荷物の搭載方法ですね。現状のやり方だと少し時間がかかり過ぎてしまいます。もっと簡単に搭載できる方法へと改善が必要そうです。

そして2つ目のフライトも問題なく終えられるかと思っていたのですが、戻ってきて着陸で終わりというところで急に全てのモーターの回転が停止し、草の茂みに墜落をしてしまいました。人身・物損はありません。原因についてはログを解析していきますが、機体が着陸をしたという判定の信号が出ているようですので、何らかの理由でディスアームの指示が発砲されたということになります。原因分析をして次に繋げます。(不測の事態に備えて事前に消火器や消化砂、そして応急手当セットも準備をしておりました。使用せずに終わってよかったですが、今後も引き続き、定期的な消火器訓練やファーストエイド訓練等は続けていきます。)

最後の3つ目ですが、田舎町に急に人が集まったことで携帯電話回線がパンク、AIで検知した結果の様子が指揮本部に送られるまでにタイムラグが出てしまいました。これは想定外でした。当面の間、今後はご参加者の皆様にお手数でもスマホの電源を切っていただくような運用にしたいと思います。最終的にはLTE回線を使用せずとも通信のできる仕組みを検討していきたいと思います。

ということで一部成果を出せなかったところもありますが、それも含めての検証ですので、今回の結果を踏まえ、さらなる上を目指して昼夜を惜しんで頑張ってまいります。

ところで、共通の課題でもある「採算性」の点について少しお話をしておきたいと思います。今回、参加者の方からも質問をいただきました。正直ベースでお話をしてしまいますと、現状、物流用のドローンは500万円以上します。LTE回線対応等のカスタマイズを行っていると、簡単に1,000万円近い金額になります。これではどうやっても、採算性の確保はできないと思っています。だからこそ当社では以下の取組を進めており、今回の試験実施に至りました。

  1. 支出の削減
    現状の高額な機体では収益の確保は困難です。1フライト300円や500円では間違いなく、利益は出せません。より安価な機体を必要とします。当初はこのあたりはメーカーが頑張る仕事と考えていましたが、金額は上がっていく一方のため、思い切って試作機開発等を得意とする五百部商事様に10kgペイロードの大型ドローンをお願いしました。まずは200万円を切る物流用のドローンを世に送り出したいと考えています。また、2フライト目の日用品搬送に使用したドローンは、当社オリジナルのものです。4.5kgのペイロードで80万円を切ることを目標に開発をしたものです。いずれの機体も信頼性と冗長性を高め、採算確保はできないと言われているドローン✕物流の実現に挑んでいきたい次第です。
  2. 収入の確保
    野菜の搬送だけでは同様に採算確保は困難です。野菜の収穫には時期があり、通年でドローンを運航できるわけではありません。このため、このドローンを別のビジネスにも転用する必要があります。だからこそ今回、日用品の搬送という別のお題にもチャレンジした次第ですし、また「平時の物流、有事の災害対応」の兼用プラン提唱の第一人者として、災害対応までを巻き込んだプランの実現を目指していきます。

これら対応を複合的に組み合わせることで、採算確保は決して不可能ではないと思っています。この分野でのファーストペンギンとして、小さな会社ではありますがこれからも頑張って参ります。

最後に、共同事業者としてサポートをいただきました千葉市様、地元畑町の皆様、畑町防災会の皆様、そして今回の実用試験を見守ってくださいました多数の出席者の皆様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

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